鶴川の家
内部の大きな、もう一つの外部
起伏や緑が豊かな郊外の鶴川で、敷地からは遠方の山や緑地を身近に感じられる。夫婦と子、両親の三世帯のプライバシーを確保しながら、どこからでも自然が感じられ,積極的に外部と関わることができる家が求められた。
まず外部と接する機会をたくさん確保するために、建物の外壁を敷地いっぱいに配置し周長を長くした。その中に、もう一つの外部を囲い込むように住空間を配置し、どちらからでも外部が感じられるようにし、光に満ちた風通しのよい家を目指した。また中央に設けた井戸は、内側から建物全体に通風もたらし、水音で場を和ませる。
2階のひとつながりの共用スペースは、外周部をガラス張りとし、コンクリートの廊下をめぐらせている。また、部屋の機能に合わせて床を下げ、コンクリートの廊下がキッチンカウンターやベンチ、バルコニーに変わる。窓廻りのグラデーショナルなレースは、光や風をやわらかく包み、近隣との直接的な視線をかわしている。
このもう一つの外部の存在により、自然と住まい手の意識を外へと向かせ、天候や環境の移ろい、あるいは周囲の気配などが建築のなかに入り込み、住まい手の居場所に強弱を生じさせている。
データシート
敷地面積:234.52 m2
建築面積: 80.72 m2
延床面積:143.13 m2
階数構造:2階建/木造(一部RC造)
統括・意匠設計:大井鉄也 大井鉄也建築設計事務所
構造設計 :加藤征寛 株式会社 MID研究所
設備設計 :山下直久、大澤武史 Comodo設備計画
小宅武尊 設備設計 桜組
ランドスケープ:石井秀幸 株式会社 スタジオテラ
キッチン :鈴木龍三 スタディオン株式会社
建築施工 :株式会社 山昇
造園施工 :箱根植木 株式会社